添田 隆司(そえだ たかし)
おこしやす京都AC株式会社 代表取締役社長
生年:1993年
添田社長、本日はよろしくお願いいたします!
こちらこそ、よろしくお願いいたします。
はじめに添田社長がどんな少年時代を過ごしてきたかを聞いてもいいですか?
私は生まれ育ちが東京で、小中高は筑波大学付属の一貫校に通っていました。サッカーも幼稚園の頃から続けていました。
高校の時は全国大会にも出るような強豪のクラブチームに所属されてたんですよね。
学校の部活もあったのですが、そこはあまり真剣にやっていないように見えたんです。当時の僕は今考えるととても未熟な考え方でしたが、全くやらないか本気でやるかの0か100の選択肢しかなかったので、どうせやるなら……という思いでクラブチームに入りました。
小さい頃からサッカー選手を目指していたのでしょうか?
そうですね、中学校入った当初まではプロになりたいと思っていましたが、2年生になると自分の何となくの実力が客観的にわかってきてサッカー選手の夢はあきらめました。
勉強の方はどうだったのでしょうか?
特段できたわけでもないのですが、なんでも完璧にしたい方でしたね。例えば小学校でもうすぐでオール Aの成績を取れそうなことがあったのですが、その時は翌学期オールAにするためにかなり頑張ったりしました。
高校の時はどうでしたか?
高2の冬、センター試験の同日模試を受けたんですけど、成績が酷くて……。それで勉強しないとっていう意識が出てきましたね。そこから目標を東大にして勉強に取り組みました。
どうしてそこで目標を東大に設定したのですか?
どうせやるんだったら一番高いところに目標を置こうというのもありましたし、保守的なところもあったので、東大を目指しておけばどこか他のところに受かるだろうと思ったのもあります。
「保守的」のレベルが高すぎる(笑)
そしてそのあと、実際に合格されるんですよね。大学では東大のサッカー部に所属されていたんですか?
そうです。
実際に所属されてみて、東大サッカー部はどうでしたか?
東大に行けば自分は上手い方だと思っていましたが、意外と周りのレベルが高かったです。4年生の時には主将をさせていただいたり、充実したサッカー生活だったと思います。
その後の経緯について教えてください。
4年生になり、サッカー部も引退して部活も無事終わった(三井物産などいくつかの企業から内定)12月頃、大学でコーチをしていた人の後輩が藤枝MYFCという当時J3のプロサッカークラブの監督をしており、練習に誘ってくださいました。プロになるつもりはありませんでしたが、純粋にJリーグのレベルに興味があって練習に参加することにしました。
なるほど。
僕は練習だけだと思っていたんですけど、練習を終えたら藤枝MYFCの社長と面談する機会をいただきました。その時の社長が小山社長でした。
その時、小山社長とはどんなお話をされたんですか?
選手兼社員として藤枝MYFCに加入してJリーガーになってみないか、というお誘いでした。
!?
でも内定も決まっていたんですよね?
そうです。小山社長には決断まで2週間の猶予をいただきました。
実際にJリーガーになるか内定先に就職するかはかなり迷われましたか?
人生で一番悩みましたね。サッカー選手になるのは幼少期からの夢だったのですが、ある程度先が見えてる中で頑張ってきたタイプだったので全く先が見えないサッカー選手としての世界に飛び込むというのは相当な不安でした。
そうですよね。最終的にプロサッカー選手になる決め手はなんだったんでしょうか?
僕にとって就職するのかサッカー選手になるのかは五分五分でしたが、サッカーでチャレンジする最後の機会だなと思ったのが決め手です。頭によぎったのは、これまでサッカーに関して逃げてきた自分がいたことです。高校進学の時、サッカーの強豪校に誘われていたのですが進学校の環境を捨ててまでサッカーでチャレンジすることが怖かったこともあり、結局そのまま筑波大学附属高校に進学し、サッカーはクラブチームでプレーすることにしたんです。大学の時も、東大以外にも早稲田、慶応に受かっていて、サッカーのレベルが高い早稲田、慶応に進む選択肢はありましたが、結局は安定志向で東大を選択しました。3回目の後悔を作るのか?と自分に問いかけ、決断しました。
大学生活はサッカー漬けだったんですか?
そうですね、サッカーを中心に過ごしていた気がします。
大学生活中にやっておけばよかったと思うことはありますか?
世界を広げる努力をしておけばよかったなと思います。どうしても昔はサッカーと勉強の2つしかやってこなかったので、もう少し他のところに目を向けていたら自分の見える視点が広がったのかな、と思います。あとは時間があるからこそできることをやっておけばよかった。分厚い原書などを読む時間がなかなか取れないですね、社会人になったら。大学生はそういう意味で時間がたっぷりあるので大学生にしかできないことをやっておけばよかったと思います。
大学生であることを意識して生活します。
大学までと社会人になってからで考え方の違いなどがあれば教えていただきたいです!
学生時代は自分が立てた目標だけを達成すればいいと思っていました。生きている世界が限られていたんだと思います。
社会人になってからは色々な人と出会う中で、世の中ってこんなに広いのだということを知りましたね。あとは他の人と一緒に目標に向かって取り組むという視点も身につきました。自分がお金を稼ごうと思えば、頑張れば一人でできるかもしれないですけれど、大きな目標を達成しようと思ったらみんなの力がないとできません。だからどうしたら人が気持ちよく関わってくれるのか、といったことは最近考えています。
なるほど、広い視点って大事ですね!
最近読んだ本で面白かったのはありますか?
中野信子さんの脳科学に関する本は、読んでてすごく面白かったです。
どういったところが面白かったですか?
自分の能力が先天的なのか後天的なのか、という問題に関しては興味深かったですね。スタート時に同じ能力の人が同じ努力をしても結果が違うという研究結果もあります。だから全てを後天的な努力の結果と片付けるのは違う。真面目にやってるけど自分の先天的能力と食い違っていて結果が出ないケースがあることを理解することは大事です。
添田社長はどちらだと思いますか?能力は先天的か後天的か。
先天的に6割くらい決まっているのではと今は思っています。先天的に決まっている部分があるからといって、それが全てではないです。環境と自分の頑張りで十分に変えられます。
社長に良い影響を与えた環境はどんなものだったのでしょうか?
親が自分を否定せず育ててくれたのは大きかったです。物事を押し付けられなかったので、自分の中で試行錯誤しながら成長に繋げることができたんだと思います。
試行錯誤というのは「仮説を立てて、検証する」ということでしょうか?
そうですね、自分の中で仮説と検証を繰り返していく、そのうちに自分の理論として体得した人は強いです。押し付けられた、与えられた理論が正しいと自己洗脳することは本当の意味での学びになりません。「なぜ」に答えられないから、それでは理解したとは言えないんです。
添田社長が教育で必要だと思うことは、どういったことでしょうか?
人には、特に子どもにはみんなよりよくなりたい、成長したい、という欲求があると思うのですが、それを押さえつけないのは大切だと思います。子どもの「やりたい」を拒否したら欲求がなくなってしまう。自分の興味の向くままに進むのがいいんじゃないかと思います。
添田社長からみて文武両道についてはどう思いますか?
もし勉強もスポーツもやりたいのであれば、どちらもやった方が良いと思います。例えば、プロスポーツ選手のセカンドキャリアについて考えた時に、彼らは本当は色々と考えていて賢いのに勉強をしてなかったために論理的なアウトプットが苦手になっているんです。アウトプットができないのは損だと思います。そうして本来の賢さが発揮できないことは勿体無いなと思うんです。
そうですね、自分の能力が制限される環境は勿体無いと思います。
最後に、今の大学生にアドバイスをお願いします。
興味のあることを徹底して追求してほしいと思います。無責任に聞こえるかもしれないですが、それが結果的に成長に繋がっていきます。あとは自分の興味のないことや自分が知らないことに対して誹謗中傷をするのはよくない。自分が知らないからこそ耳を傾けると、さらに自分自身の世界が広がっていくと思います。
東大卒でJリーガー、ものすごい経歴を持つ添田社長は、誠実で紳士な方でした。添田社長、ご協力いただきましてありがとうございました!