株式会社和光舎の西谷会長に取材!

西谷 謙二(にしたに けんじ)

株式会社 和光舎 代表取締役会長
生年:1948年

本日はよろしくお願いします!

よろしくお願いします。

会長は和光舎の経営者になる前、どういったことをされていたのですか?

私は現職に就くまでに8回転職しています。

8回……!?

私はこれまで人の流れに逆らわずに生きてきました。お世話になった人から仕事に誘われた時、私はその時に「これを断ったらこの人との関係性が悪くなるんだろうな」と思って、会社を辞める方を選んできました。ある意味、転職に対して抵抗感はありませんでした。どこでも生きていけるだろうと思っていたので。

そんな方が現在では企業の代表を務められています。もともと経営者になる予定だったんでしょうか?

とんでもないです。絶対になりたくなかったです。過去に自分の勤めいていた会社でも支店長になれと言われたことはありますが、「いち営業マンでいいです」と答えました。

え、でも今経営者に……

事業も、経営者も、特別やりたくてやったわけではなくて結果的にそうなりました。

そうだったんですね!
会長のこれまでの経緯を聞かせてください!

この会社を始める前、私は保険のセールスマンでしてね、たまたま京都のお寺に行った時、住職さんの襟が汚れていたんです。「洗わないんですか?」と聞いたら、「洗えないらしい」と言ったので、「じゃあ私が洗います」とクリーニングを引き受けたことがきっかけです。

会長の親切心から始まったんですね!

もちろん自分ではできませんから、できる人に頼みに行きました。京都には洗う、染める、織る……それぞれに職人さんがいるので、京都の職人さんを廻ってお願いをしに行きました。

それは京都ならではですね!

できる人が見つかると嬉しくなるんです。「やっぱりいたな」と。職人さんの力が発揮できる場所を見つけた気がするから。やっていくうちにこの人たちにもっと活躍する場所を提供したいと思うようになりました。

会長は人が喜んでいるところを見るのがお好きなんですね!

そうかもしれません。

その延長線上に会社経営があったということですか?

そうです。職人さんに仕事ができる場所があればいいなと思ったので。

8回転職されている会長が今会社を26年継続させている……何か理由があるのでしょうか?

面白いからです。自分が一番この仕事を面白がっている。だから続けてこれたんだと思います。

会長が面白いと思う部分はどういうところですか?

職人さんが時間をかけて作った作品がうまく言った時、職人さんがニヤッとするんです。それを見て幸せを感じています。

会長にとって職人とはどういう存在なのですか?

守るべき存在です。京都には“ええ職人”がたくさんいるんです。そういった“ええ職人”を残していきたいのです。それは私が職人に助けられたというのもありますが、本当に職人の作る作品が素敵だと思うから。この文化は守っていかなければなりません。

そのために会社として意識していることはありますか?

そうですね、会社という場所が職人さんの居場所となればいいと思っています。職人が各々自分の力を出せる場所となること、これを意識しています。会社って「自分たちが雇いたい人を入れればいい」という考えを本で見たことがありますが、それは違うと私は思っています。会社というのは、来たい人が集まるところなんです。私はそのための環境を提供しているだけです。

会長が和光舎という職人が働きやすい環境を作ることのできた秘訣は何ですか?

自分では何もしていません。人に流されて、成り行きでこうなっているので今自分は幸せだなと思います。

「人に流される」、「成り行き」というのはこれまで悪いことだと僕は思っていました。しかし今日会長のお話を聞いて、必ずしもそうではないことがわかりました。
最後に、現在の大学生に向けて一言お願いします!

転職を8回した私が言うのも何なんですが、「続けること」が大切です。何をするにしても、それがたとえ嫌いだとしても頑張れば必ず上手くなります。私から誰かに「頑張れ」と言うことはできませんが、「頑張らな上手くならん」と思っています。私の好きな言葉の一つに「知止至善」というのがあります。踏みとどまるべきところを知って、そこで頑張り善に到達する。ぜひ、自分のやりたいことにまっしぐらに突き進んでください。

自然な生き方とは何かというのを会長のお話を聞いて考えさせられました。会長のように生きていきたいと思います。西谷会長、ご協力いただきありがとうございました!