村田機械株式会社の村田社長に取材!

村田 大介(むらた だいすけ)

村田機械株式会社 代表取締役社長
生年:1961年

村田社長、本日はよろしくお願いします!

よろしくお願いします。

早速ですが、村田社長はどのような環境で育ったのでしょうか?

小さい頃から会社が身近な存在でした。会社は祖父が1935年に創業しました。子どもの時は父も祖父も仕事が忙しく「みんな会社で頑張ってるんだな」と漠然と感じていました。

お爺さまはどんな方だったんですか?

祖父はもともと岩城という姓で、福井県の小学校を卒業後、京都の村田商店に丁稚(でっち)入りしました。そこの養子となって村田姓に変わり、スピンオフして会社を創りました。せめて自分の子どもには十分な教育を受けさせたいという気持ちがあったそうで、私の父をはじめ息子たちを大学や留学に行かせました。祖父は私が8歳の時に亡くなりましたが、体が大きくて、豪放磊落で陽気な人、声が大きくて明るい人と記憶しています。

お爺さまから学んだことは何かありますか?

祖父は考え方のハッキリした人でした。「人間横着じゃあかん、活発やないとあかん」とよく言われました。その率直なスタイルは、「努力、誠実、健康」という当時の社是にも表れていたと思います。

村田社長は昔から会社を継ぐつもりでいたのですか?

そんなことないです。幼い頃の夢は、パイロットやお巡りさんなど、当時の他の子たちと同じようなたわいもないものでした。十代になってからは、むしろ経営者にはなりたくないと思っていました。

それはどうしてですか?

僕が中高生の頃(1970年代)の社会は、資本家は良くないという風潮があったんですね。父親が経営者というだけでずいぶんとからかわれたし。それで経営者に対してあまり良い印象を持っていなかったですね。

進路に関しては結構悩まれたんですか?

そうですね。勉強とか特定のスポーツなど、しぼり込んで熱中する対象が昔からなくて、やりたいことが変わっていきましたね。大学生の頃には経営者も悪くないと思うようになりました。

大学入ってからは自分のやりたいことが決まったのでしょうか?

そうでもなくてですね、進路は高校から大学を出る頃までずいぶんと悩みましたよ。高校の時に山岳部に入っていたので、測量の仕事も面白そうだと思ったり、歴史が好きだったので大学で歴史を教えながら自分の好きなことを研究するのもいいな、と本気で考えたこともありました。学生の時にはコンサルタントを志望した時期もありました。今から思えば、一種の「自分探し」だったのでしょう。

なるほど!大学生の時の日常生活について教えてください。

東京の大学に通い経済学を学びました。一人暮らしだったので気軽ではありました。はじめの2年間は普通の2年間で、後半の2年間が忙しかったです。

どのように忙しかったんですか?

大学のゼミが週に3回あって、その日に学ぶテキストの範囲を1枚にまとめたレポートが各自に課されます。ゼミでは回り持ちで1人の学生が発表するのですが、先生はそれを聞きながら全員のレポートを読んでいて、ダメなのがあると発表中に丸めて捨てたりするんですね。

え……

ただ、捨てるのは決まってコピペしたような他の人の考えだけ取ってきたものなんですね。先生は自分で考えたもに対しては多少抜けがあっても評価してくれました。

そんなゼミが週に3回もあったんですね……

先生からは自分の頭で考えることを学びました。もともと小さい頃から周りに流されないように意識しているタイプでした。みんなが銀行マンや商社マンになりたいと言っても自分はあまり興味なかったし。先生のゼミを通じてそういうことをより強く意識するようになりました。

現在、経営者としてそうした考えを振り返ってみてどう思いますか?

リーダーとして大切なことは「人柄」だと思うんですね。

人柄……

じゃあ人柄って結局なんなのかって考えたら、それは「自分」を持っていること。良いリーダーは自分をしっかり持っている。自分の外ではなく内に答えを持っているからこそ外を巻き込むことができるし周りの人はその人に魅かれるんですね。そうした考えに至ったのはゼミの先生のおかげです。

村田社長にとってのゼミの時間は今につながる大切な経験だったんですね。もう一度大学生に戻れるとしたら何をしますか?

ボランティアをもっとしたいなと思います。人助けは自分が十分に強くなってからするものだとずっと思っていました。しかし、それは言い訳だったと今では思います。人のために何かすることを若くて心が柔らかいうちにやっておきたかったなって思います。

ボランティア、自分もできるうちにやっていきたいです。
最後に大学生に一言お願いします!

大学では自分の頭で考えることを意識してほしいと思います。社会人になって必要となるスキルは昔よりもずっと増えています。しかし、そういったスキルよりも本当に必要なことは自分の頭で考えること。世間が言う「最近の学生は」とかニュースなどを妄信しないことです。周りに流されず、いろいろな経験を踏まえて自分の頭で考える、そして人を大事にしていきていければそれだけで十分です。

村田社長に自分の頭で考える大切さを学びました。自分を確立してリーダーになっていきたいと思います。この度はご協力いただきましてありがとうございました!