「俺は6歳や」と言い聞かせる-佐々木代表に学ぶ-

佐々木 喜一(ささき よしかず)

成基コミュニティグループ 代表兼CEO
生年:1958年

全国に先駆けて『個別指導』という体系をとった成基コミュニティグループ。その創業者の長男として生まれた佐々木代表は幼少期から周りに期待され、プレッシャーを感じることはなかったのだろうか。今回はその辺りを明らかにできたらと思います。

プレッシャーはずっと感じていましたね。人並みではダメだ、というプレッシャーがあった。

ずっと……幼少期に感じていたプレッシャーについて教えてください。

小学校の時にサッカーをやっていたんです。小5でレギュラーになって、京都の大会で優勝したりして、自分で言うのも何ですが結構活躍してました。翌年春の大会も優勝して、さあ夏の大会だ、となった時に親父から「お前サッカーやめろ」って言われたんです。私からしたら「え?なんで!?」って感じですよ。夏の大会は一番大事で、その大会のために練習してきたので。その時親父に「中高一貫の同志社中学入ったら勉強せえへんとサッカーずっとやってられるぞ」と言われました。反発することもできず、すごく自分の中で圧を感じましたね。

お父様から佐々木代表への期待がすごく感じられます。

小学校6年生の時に修学旅行があって、伊勢の方に行きました。「親父を気にせず自由な時間が過ごせる!」と思いました。わずかばかりのお小遣いを握って、楽しく友達とお土産屋さんをまわっていた時でした。なんとなく後ろからエネルギーを感じたんです。振り返ってみると、そこには色々な文字が印刷されたシャツや盾などお土産の品々が置いてあって、その一つに親父が日頃言っている言葉が書かれていたんです。
『努力』
それはもう耳にタコができるくらい聞いていた言葉です。「お前は努力不足だ」「もっと努力しろ」と。その時に親父が追いかけてるような気がして、友達を振り切ってその場を逃げ出したのはすごく印象に残っています。

小学校の時にそんなことがあったのですね。中学校、高校の時はどうでしたか?

志望していた中学に合格できたので、親父の言葉通り、中学・高校ではずっとサッカーをしていました。中学校に上がっても親父が「あーだ、こーだ」言ってくるのは変わりませんでしたね。それに逆らうと、あとからプレッシャーがかかってくるのがわかっていたので、その時は「はい」と答えてその場をやり過ごしていました。表面上は素直にしていましたが、裏では「言うことなんか聞くか」といった感じでしたね。

幼少期の頃は色々な体験を通してプレッシャーを感じ続けていたのですね。そんな佐々木代表のターニングポイントを教えてください。

22歳、大学生の時です。アメリカにずっと憧れがあって、大学生の時にお金を貯めて飛行機で渡米したんです。グレイハウンド(アメリカ最大規模のバス会社)のバスに乗ってアメリカの色々なところに行きました。しばらくアメリカにいると暇になって、することがないのでぼーっとしながら、自分の内面を探求し始めました。「自分は一体なんだろう」「これから何をしたいんだ」。その時に思ったのが「自分が生きてる痕跡を残したい」でした。痕跡を残そうと思ったらめちゃくちゃ良いことをするか、めちゃくちゃ悪いことをするか。悪いことはしたくなかったので、「良いことをしよう。そのために社会に対して価値あるものを届けよう」と心に決めたのが、大きなターニングポイントの一つですね。

非日常の環境で自分を見つめ直したのですね。

もう一つは親父が亡くなったことです。私が28歳の時でした。当時私は「ぴあ」という情報出版社の関西支社立ち上げメンバーの一人で、めちゃくちゃハードワークをしていましたね。月の残業時間が200時間超えていました。そんな時に母親から急に電話がかかってきて、「すぐ戻りなさい」と。父が他界したのです。私は色々と考え、悩んだ末に成基学園に戻りました。成基学園という名前は「人格形成の基を成す」という意味で作られた名前です。父の志を継ぐことが私の「生きてる痕跡」になると思いました。

そうして今、継がれているのですね!様々な経験を経た佐々木代表が大切にされている考え方は何かありますか?

学習していくと知恵がついていきます。知恵がついて問題なのは、チャレンジをしなくなること。人は失敗から学びます。失敗すると、次は失敗したくないからリスクヘッジをして安全策にする。そうすると面白いことやユニークなこと、チャレンジングなことをしなくなる。だから私は何かを始めるときは「俺は6歳や」ってあえて自分に言い聞かせる。6歳ってその時泣いてても、隣に楽しいことがあれば次の瞬間には笑ってる。それはつまり、その瞬間その瞬間を生きてるということ。知恵がつくと、過去の経験をベースに今を考えてしまう。過去から学習をして、出来るだけ無難にやろうとする。失敗もせんけど、チャレンジもないし、成長もない。

なるほど。

今は社会全体がそのような状況になっているように見えます。だからこそ20代、30代が引っ張っていかなきゃいけない。

素敵な考え方ですね。ありがとうございます。それでは最後に「将来やりたいことが見つからない」「自分がどんな生き方をすれば良いかわからない」と悩んでいる今の大学生にメッセージをお願いします。

何がしたいかわからないのなら、まず方向性を決めることが大事です。そこからやりたいことが見つかってくる。何をする“Do”よりもどんな人間になりたいか“Be”を先に決めると良いと思います。それがわからなかったら色々な経験をしたら良い。私は息子が4人いるのですが、「30歳になるまでは好きなことをしろ」と言っています。色々な経験をする中で、自分の志が立っていくのではないかと思います。

「努力」と向き合い続け、そして自分の中の「努力」を確立した佐々木代表のお話に感銘を受けました。この度は取材にご協力いただきありがとうございました!