株式会社最上インクスの鈴木社長に取材!

鈴木 滋朗(すずき しげあき)

株式会社最上インクス 代表取締役社長
生年:1973年

バドミントンで全国大会出場

まず鈴木社長の経歴についてお聞かせください。

4人兄弟の長男に生まれました。もともと父親がスポーツを頑張れ、という家庭でした。それで小さい頃からずっと水泳をしていました。中学校でも水泳をやろうと思っていましたが、幼馴染に誘われてバドミントンの見学に行ったら、意外と面白かったのでそのまま入部しました。今でこそ桃田選手のように活躍する人が出てきて一般的になっていますが、当時はあまり男子のやるイメージがありませんでしたね。でも、始めたらどんどんのめり込んでいって、結果的に全国大会へ出場するとこまでいきました。

中学から始めて全国大会……!相当練習されたんじゃないんですか?

1年のうち340〜350日は練習してました。監督とのご縁に恵まれていたのが大きかったですね。

監督はどんな方だったんですか?

すごく熱心な先生でした。全国大会に行きたい僕たちのために、ポケットマネーを出してくれたり、クールダウンのために学校のプールを解放してくれたり。インフルエンザ接種の時は休んでいいと言われたんですけど、それでも「やりたい」と言ったら「さすがに学校の体育館で練習するのはまずいから、帰ったら地方体育館借りとくから、自転車で来い」って。僕たちは担任の先生に「熱が出てるので帰ります」と嘘ついてインフルエンザの接種もせずに練習したりしてました。バドミントンが好きすぎて、今じゃ考えられないようなことばかりしてましたね(笑)。

素敵な先生ですね。鈴木社長は中学時代の監督に出会って何か影響を受けましたか?

受けましたね。監督は何事も真剣に向き合えば結果が出ることを教えてくれました。やっていれば物事は見えてくる。言葉だけじゃなく行動でそれを体感したことで、踏ん張りが利く人生になりました。

海外との縁

高校はバドミントンの強い高校に進学したんですか?

いいえ。実際に京都でバドミントンが一番強い高校から声がかかっていて、他のレギュラーメンバーもみんなそこに行ったんですけど、僕は機械を触りたくて工業高校に進みました。

そうだったんですね。卒業後の進路はどうされたんですか?

航空整備士になりたかったんです。けれど、なれなくて。じゃあ、大学受けようって思ったけど、もう手遅れでした。案の定不合格で、仕方なく機械を製造する会社に就職しました。

それは今の会社とは別の……?

そうです。働き始めて2年ほど過ぎた頃、親父の親友から海外出張があるから付いて来いって言われたんです。

どんなことをしたのですか?

シンガポール、マレーシア、インドと回りました。どうやら、その人が僕を出張に連れて行ったのは、親父の会社を継ぐように説得するためらしくて。毎晩その人の部屋に呼び出されて説教をされました。いつも最後は「お前は親父の会社を継げ」ってなるんですけど。僕は断り続けたのに、しつこくて。出張から帰ってくる前日には「いま決めろ」と言われました。あまりのしつこさに半分適当に「継ぐ」って言ったら、「父親に土下座して継がせてください」と言えって言われて(笑)。

すごいですね(笑)。

数年後その人に、会社を継ぐんだったら親父にお願いして海外に行ってきたら、と言われたので、親父にお願いして海外に行きました。当時23歳くらいでしたね。この海外生活は僕の20代ですごく良い経験になりました。

どんな海外生活だったんですか?

アメリカのアイオワ州というところに語学留学に行きました。最初は授業についていくのが大変でしたね。英語の課題が出ると全然できなくて……唯一できたのは語学力を必要としない数学でしたね。海外生活をする中で「自由」と「自己責任」を学びました。

それはどういうことですか?

英語の授業がきつすぎて、チューターの人に相談したことがあったんです。そしたら「お前は何しに来たんだ。英語が嫌なんだったら帰れ!」と言われたんです。「こっちは相談してるんだからもう少し優しくしてもいいじゃん」って思ったけど、よく考えたら僕は自分の意志でここに来てるんだから、と思い直しました。
結局、自分で決めるから自由が生まれるんだと学びました。きっと「自由がない」と言っている人は自分で決めていないんです。それで嘆いている。アメリカでは自分の意志を明確にしていかないといけない。日本では授業で「はい、誰々さん」って当てられるかもしれないけど、アメリカでは手を上げないと当てられない。自分はどんなことに興味があり、何がしたいのか、と考えるきっかけになりました。ずっと日本にいたら気づかなかったかもしれません。

大学生へ伝えたいこと

鈴木社長は現在経営者として社会に目を向けて会社経営をされていますが、どのようにして社会に対して目を向けられるようになったんですか?

経営者として行動するうちに言動が社会に向いてきました。社会人になってから会社を継ぎたいと思わなかったのも、ものすごく自分視点だったし、学生の頃はなおさら自分のことしか考えていませんでした。経営者という立場になって、責任を考え始めてから周りに目が向くようになりましたね。

社長は今、経営者として社会に貢献するお仕事や意識を持っておられますが、普通の人がそういう意識を持つにはどうしたら良いのでしょう?

自分の役割が何かを意識したら良いのだと思います。

会社からまだ役割を与えられていない大学生はどうすれば良いのでしょう?

本当に関心のあることをやってみてください。今は情報に溢れているから真実や実態が誤魔化されてしまいがちです。外を見れば見るほど自分の立ち位置がわからなくなる。だからこそ自分自身に目を向けて、関心があることをやってみる。そうすると自分のみたいものが見えてくる。自分自身がやろうと決めたことを大学生のうちに一生懸命やったかどうかが、その後の人生に影響を与えるんじゃないかと思います。

鈴木社長の若い頃の経験が今にすごく影響を与えていると語っていたのが印象的でした。きっと今何をしようとそれが将来に大きく関係するんだろうと思います。だからこそ「今は大切」に、ですね!