山中 泰宏(やまなか やすひろ)
旭金属工業株式会社 代表取締役社長
生年:1953年
今回取材をしたのは、航空機部品を一貫して担う旭金属工業株式会社の代表取締役社長である山中社長。今の大学生に足りないことや必要なこと。山中社長から本質的なことを聞くことができました。
今日は山中社長に、大学生の指針になるようなことをお聞きできたらと思うのですが、山中社長が今の大学生を見て思うことは何かありますか?
今の大学生を見ていると、昔に比べて決断力がないように見えます。例えば「今日何食べたい?」って聞いてもすぐに答えられなかったり。
僕もよく迷います。
これはご飯を食べるときに限ったことではなくて、この先、みなさんが進路を決める段階になっても同じことが言えると思います。就職先を決めるときにたくさん悩むのだと思います。大学進学の時には、志望校を3つくらい出して、自分で優先順位をつけることができたのに、就職ってなるとそれができなくなるように見えるのです。4年間で決断力が弱くなるのかもしれませんね。
進学先と就職先では重要度が違うのだと思います。就職先はこの先の人生を決めるようなものなので……
どうして進学先は同じように決めないのですか?就職先も進学先と同じように自分がしたいことに従って選べば良いと思いますよ
でも、なぜか悩んでしまうのですよね。悩んでしまうのはどうしてだと思いますか?
悩む理由がわかっていないのだと思うのです。
それはどういうことですか?
自分がどうしたいのか決める時に、深く考えていない。考えようとしない。
それは……
定義ができていないんです。自分の中で自分の使っている言葉の定義が曖昧になっているから悩むのです。きちんと定義することができたら、悩む観点が変わってくるのではないでしょうか。
どういうことでしょうか?
例えば、多くの人にとって料理の本質は味だと思うのです。そこを多くの人が見逃している。本質を見失っているのです。だから、見た目だったり、それがどれだけ人気があるのか、という本質からずれた方向に進んでしまう。自分にとって大切なことを定義することができれば、本質を見失わずに済むと思います。
なるほど。でも、簡単には定義できないこともあると思うのです。その場合はどうしたら良いのでしょうか?
色々なことに挑戦してみたら良い。進学先を決めた時の初心を思い出して、思い切って決めたら良いと思います。
それで会社選びを失敗したら…….という不安がよぎってしまいそうです。
失敗しても、そこから学べることがきっとありますよ。
なるほど。でも会社選びは慎重になってしまいそうです。人生がかかっているので……
会社がどうしても自分に合わなかったら辞めれば良いと思います。失敗の方が得ることがあったりしますよ。
確かに……
料理が美味しいか美味しくないかはどうやったらわかりますか?
食べてみないとわからないと思います。
そう。それを他の人のレビューや意見、見た目を参考にしてもしょうがない。自分で食べてみたらいいのです。美味しくなかったら吐き出せばいいじゃないですか。大切なのは、食べてみて美味しくなかったら吐き出す勇気を持つことです。就職先を選ぶときも同じです。人生の目的が就職では無いのですから、嫌だったら辞めれば良い。それで後悔したらいいと思う。「しまったなあ」って後悔の連続が人生なのですから。そうやって成長しながら目的に近づいていくものだと思います。