株式会社亀田利三郎薬舗の亀田社長に取材!

亀田 利一(かめだ りいち)

株式会社亀田利三郎薬舗 代表取締役社長
生年:1960年

亀田社長、本日はよろしくお願いいたします!

よろしくお願いします。

社長は幼少期、どのような生活を送っていたのですか?

その頃は父が会社を経営していてね、豊かな生活でしたよ。家にお手伝いさんがいて、ご飯を作ってもらったりしていました。ですから親が作るご飯をあまり食べたことがなかったです。また、特に親から「何かをしろ」と言われることもなく、のびのびと育ってきました。

会社を継ぐことに対してはどうでしたか?

継ぐことしか考えてなかったですね。物心ついた頃から社長になる、と思っていました。特に「継げ」と言われることもなく、自然の成り行きとして捉えていました。

社長になることが亀田社長にとっての自然な流れだったのですね。お父様はどんな方だったのでしょうか?

父は昭和一桁の世代で気難しい人でしたね。特に、食事とか食べ物にはうるさい人でした。

そうだったんですね。亀田家の始まりはいつからなんでしょうか?

始まりは、江戸中期・元禄10年に今の滋賀県から京都に出て五条室町に店を構えたことからです。元々は漢方ではなくて紅商を営んでいて、のちに呉服商に転じました。

漢方を扱うきっかけは何かあったのでしょうか?

六代目利兵衛の長男利三郎が中国へ渡航した際、上海で病気になりました。そこで現地入手した六神丸を服用したところ、たちまち快癒しました。そこで利三郎は感銘を受け、この六神丸を日本へ輸入し売り広めようと、「雷氏方」という処方に基づく六神丸を輸入して販売を開始しました。そこから亀田利三郎薬舗は続いています。

そんな亀田利三郎薬舗は今年で創業126年を迎えられました。亀田社長はこの歴史をどう受け止めているのでしょうか?

126年って京都の人たちからしたらまだ新しいんですよね。初心を忘れず、これからも進んでいきたいと思っています。

継続する上で大切にしていることは何かありますか?

先代から受け継いだものをできる限り変えないようにしています。漢方の作り方や会社で大切にしていることはもちろん、社風や売り方なども時代の変化はありますが、一つ一つを大切に守るようにしています。

なるほど。私はあまり漢方に馴染みのない世代なのですが、漢方と化学薬品の違いは何でしょうか?

例えるなら、「夏の大根と冬の大根は同じですか?」ということ。もちろん大根というくくりで見たら同じだけど、そこには確かな違いがあります。みなさんが普段飲まれている化学薬品は合成された化学物質で、病気や症状に合わせてピンポイントに服用します。逆に言うと症状がないと投薬されません。これに対して漢方薬は自然の生薬で、悪い箇所だけでなく身体全体をよくする働きがあります。漢方薬は人間本来の治癒力を高めるのです。

それは知りませんでした。亀田社長もよく飲まれているのですか?

はい。私は漢方を習慣的に飲んでいます。

他に何か習慣はありますか?

毎年、年始に抱負を定めています。

そうなんですね!ここ3年の抱負を教えてください!

2018年「春風駘蕩」、2019年は「行雲流水」、そして今年2020年は「酒池肉林」を抱負にしています。

それぞれにどんな意図があるのでしょうか?

「春風駘蕩」は春風がそよそよと快く吹く様を表していて、自分もそう言う人でありたい、つまり温厚な人である一年にしようという心がけです。「行雲流水」には一事に執着せず、自然に任せて行動する、という意味が込められています。「酒池肉林」は贅沢なくらしを意味するのですが、私も今年で還暦を迎えますので、「少し気休めをしよう」という意味が込められています。

毎年、年始の抱負で一年の行き方を意識するって素敵ですね!最後に大学生に向けてメッセージをお願いします!

“今”は今しかないですよね。当たり前だと思うんですけど、あとでどれだけあの頃に戻ろうと思っても、もう二度と戻ってこないから今を楽しんでほしい。悔いのない人生にしてくれればと思います。

亀田社長の、会社を継ぎながら今を楽しく過ごされている姿がすごく印象的でした。亀田社長、お時間をいただきありがとうございました!